目次
概要
自衛隊で実施される体力検定について説明したいと思います。
はじめに
今回は、自衛隊で実施される体力検定について、
実施要領やコツなどを詳細に説明します。
これから、自衛隊を目指される方は、
入隊前に体力検定を意識した筋トレをしておくと、
実際に自衛官になったときアドバンテージにつながると思います。
自衛隊を目指さない方は、
話のネタ程度に読んでいただけたらと思っております。
それでは、解説していきます。
体力検定とは
全自衛官が毎年1回以上実施される
基礎体力を測定するための検定です。
体力検定の内容は、以下の6項目になります。
検定は半日で全部実施されるので、全身の疲労の蓄積が各項目に影響します。
一時期、検定Ⅱが廃止になり、代わりに土嚢運びと装備状態での立ち幅跳びが検定に加わりましたが、近年また復活したようです。
- 検定Ⅰ
- 腕立て伏せ
- 腹筋
- 3000m走
- 検定Ⅱ
- 懸垂
- 走り幅跳び
- ボール投げ
各項目ごとに1~7級までの基準が設定されており、
トータルのスコアで最終的な級数が決定します。
昇進試験では、5級が合格基準になっていることがあります。
ただし、1項目でも基準未満の級外をとると、
他の項目がすべて1級でもトータルは級外となるため、
バランス良く級数を取る必要がありシビアな検定です。
どんなに筋トレしても、
運動神経が悪すぎてボール投げ全く飛ばず、
級外になってしまう人はザラにいました。
また、検定官によって
カウントの基準が異常に厳しいこともあり、
腹筋、腕立て、懸垂は正しい姿勢で実施しないと、
何回やっても数をカウントしてもらえず、
級外になってしまうこともあります。
ちなみに、体力検定1級の人は、
レンジャー徽章のように胸に体力徽章をつけることができますが、
1級がとれなくなると胸につけられなくなるので、
徽章を持っていてもつけない人がほとんどです。
体力検定の結果は、配置決定や昇進試験、レンジャー試験などで使われ
級外だと昇進することはできず、
級が高ければ高いほど、希望した配置に行けたり評価は上がります。
教育隊では月に1回体力検定があり、
体力検定が級外だと自衛官になることができません。
っていうような脅しがあったのですが、実際は級外でも部隊に配属されます。
ちなみに3割くらいの人は級外でした。
検定Ⅰ
各種検定の要領を説明しつつ、余談をはさみたいと思います。
検定Ⅰは、主に基礎体力の持続力を図る検定になります。
腕立て伏せ
実施要領
- 両手は肩幅よりやや広くとり、手のひらを内向きにハの字にして床に対し垂直につける
- 両足は肩幅まで開いて良い
- 腕は、肩から足首までを概ね一直線
- 補助者は実施者が屈腕した際のあごの位置に手をおき、実施者はその手のひらにあごがつくまで屈腕し、当初の姿勢に戻す
- 休憩の際に腰を曲げ伸ばすのは良いが、ひざを床面につけたり、手足を床面から離してはいけない
- 2分間でできるだけ実施(1回のみ実施)
級数
- 1級 84回
- 2級 76回
- 3級 68回
- 4級 60回
- 5級 52回
- 6級 44回
- 7級 37回
補足
腕立ては、最初の勢いが大切で最初の1分間で60回以上やるのがコツです。
補助者の人は、手の甲が実施者の汗とよだれでベチャベチャになります。
腹筋
実施要領
- 両手は組まずに後頭部に重ねる
- 両膝を90度に曲げ、補助者が両足を固定
- 仰向けの姿勢から両肘と両ももがつくまで上体を起こす
- 両肘が両ももについた状態で休憩する(仰向けのままで休憩してはいけない)
- 2分間でできるだけ実施(1回のみ実施)
級数
- 1級 84回
- 2級 77回
- 3級 69回
- 4級 62回
- 5級 55回
- 6級 48回
- 7級 41回
補足
腹筋も同様にスピード勝負なので、最初の1分間でどれだけ数を稼げるかが勝負です。
3000m走
実施要領
- スタンディングスタートで実施
級数
- 1級 10:38
- 2級 11:34
- 3級 12:30
- 4級 13:04
- 5級 13:39
- 6級 14:35
- 7級 15:45
補足
部隊での平均タイムを競ったり、駅伝などがあるため、自衛官の中で一番重視されます。
どんなに仕事ができなくても、足が速ければ、部隊では重宝され評価されます。
検定Ⅱ
検定Ⅱでは、主に筋力を図るための試験になります。
懸垂
実施要領
- 両腕はほぼ肩幅に開き、手の握りは順手
- あごが鉄棒の高さに達するまで腕を曲げて伸ばす動作を3秒に1回繰り返す(屈伸の速度が2回以上遅れると終了)
- ブランとぶら下がった状態から、反動を使うことなく上げる必要があります。
級数
- 1級 18回
- 2級 15回
- 3級 13回
- 4級 11回
- 5級 9回
- 6級 6回
- 7級 4回
補足
一般の人は、一回も上がらない人がほとんどかと思います。
やり込めばやり込むほど、筋力がついて体重が減るので、回数はすごく伸びます。
以前の種目は、顎まで鉄棒の高さまで何秒間維持できるか、だったようですが、
頭が鬱血して死ぬ人が続出したから懸垂に変わったらしいです。
幅跳び
実施要領
- 助走をつけて両足で踏切り前方へとぶ
- 身体が砂場に触れた位置で最も踏切り線に近い位置までの距離を測る
- 2回実施し良いほうの記録をとる
級数
- 1級 5.30m
- 2級 5.00m
- 3級 4.70m
- 4級 4.45m
- 5級 4.20m
- 6級 3.90m
- 7級 3.60m
補足
これも苦手な人は、多いです。
普通に跳ぶ「反り跳び」より空中を走るように跳ぶ「はさみ跳び」のほうが圧倒的に距離が出るので、練習しといたほうがよいです。
ボール投げ
実施要領
- ハンドボール(重さ180g)を投球
- 2回実施し良いほうの記録をとる
- 記録はm単位でm未満は切捨て
級数
- 1級 66m
- 2級 60m
- 3級 55m
- 4級 49m
- 5級 45m
- 6級 40m
- 7級 33m
補足
苦手な人が多いナンバーワンです。
運動神経の比重がかなり大きいため、正直種目として成立しているかどうか怪しいです。おわりに
腕立てと3000mと懸垂だけは、
入隊前に錬成しておくことをおすすめします。